浅利慶太という人
- 作者: 浅利慶太
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/01/09
- メディア: 文庫
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読んだ.
この人の人生はなんと劇的なのか.
ここではあえて,劇団四季の団員と同じように,敬意を表して,浅利先生と呼ばせていただく.
目次を見ると,小沢征璽,昭和天皇,佐藤栄作などの名前が並ぶ.
すごい人たちの関わってきたのだなぁと思いながら,読み出す.
いきなりこんな言葉から始まる.
人生という舞台の上で,ひとりひとりがどんなに輝かしいシルエットを見せたか。それを描き出したいのだ。
それを基本として,浅利先生とさまざまな人たちとの舞台を描いていく.
小沢征璽のNHKボイコット事件,日生劇場役員時代,佐藤元総理の家庭教師時代からブレーン,三島由紀夫との関わり,キャッツ全国公演...
どの話も,劇団四季において浅利先生が演出する舞台に負けないぐらいおもしろい.
必要とあらば,国も動かす.いまの劇団四季からは想像もできないような貧しい暮らしの話も出てくる.
母音法がどうして生まれたのかも出てくる.
すべてが劇的である.もちろん袖での努力は半端ではないし,それを支える精神力がすごい.
この精神が劇団四季にも生きているから,あんなにすばらしい舞台が作れるのだなとつくづく思った.
この本は劇団四季が好きな人は必読だし,あんまり興味がない人も,浅利慶太という人物の人生に驚嘆するはず.
最後に,あとがき代わりの対談での,浅利先生の言葉を引用する.
教育には厳しさが必要です。亡くなった木村尚三郎さんから「エデュケーション」のラテン語の語源について,
「難産で苦しんでいる女性の産道から赤子を引っ張り出す」ことだと聞いたことがあります。僕は人を育てる時,相手や自分が傷つくことを恐れません。「できなければ辞めさせる」と罵倒しながら徹底的に追い込み、自分を高めざるを得ない所まで叩き続ける。そこでどんない憎まれても構わない。中途半端な妥協は、相手のためになりません。
...浅利先生に恥じないよう,浅利先生の教育に応えている四季の劇団員に恥じないようがんばります.